「俺ねー…」
それは、卒業式の日の事だった。
級友や見知った顔の仲間たちが泣いて笑う喧噪の中、及川ははっきりと告げた。
「俺もね、岩ちゃんのこと好きにならない」
――決心を確固たるものにするための宣誓 あるいは 牽制
…岩泉が“言い出さないように”。
駆け引きのやり方なんて知らない。なら岩泉ができるのは
及川の決意表明を尊重するだけ、だ。
この卒業式でのやり取りがあろうとも、その後も変わらず
これまでと同じ距離感でバレーと寄り添い過ごす2人。
しかしそんな中で、岩泉は時々引っ掛かりを覚えるのだ。
季節は巡り心身共に成長した今、あの時は出来なかった駆け引きをするかのような
彼らの言動、行動から目が離せないシリアス長編作品。
サークル【チョコレートホッケ】がお贈りする“コミックマーケット96”新刊、
及岩本『夕日の似合う怪獣』が満を持して登場です。
垣間見える表情や言葉の節々に見え隠れする“想い”を
感じるほどに切なく、しかし愛おしささえも与えてくれる――。
本作は、2人が纏う絶妙な空気感と心理描写が心に刺さる、ほっけ先生の描く及岩の魅力を
じっくりとご覧頂ける1冊となっております。
彼らの行く末は、どうぞお手元でご覧ください!